リング

瞬間をリングへと閉じ込めて
いつも眺めてたい

僕の青春でもあるラブライブ。
落ち込んだ時しんどい時ラブライブの曲を聴いて乗り越えられたことも多い。
そんな中、今日立ち直れない。

話は9月に遡る。三男が家出をしていた。僕は気に留めなかった。僕も反抗期に似たようなことをしていたしそういう時期だと思ったから。家出をしたと言っても祖母の家に泊まっていただけだ。別に気にするほどのことでもなかった。
この間母が祖母宅に行った時ダンボールの空箱が多いことに気づいた。そこがはじまりだった。

僕は高校生の時にラブライブにハマった。その時Birthday figure projectというものがあった。キャラの誕生日の前にお金を払い受注生産して、誕生日前後にフィギュアが送られてくるプロジェクトだった。フィギュアは一体1万2千円くらい。高校生には出せない額だったが、子どもの時からもらって貯めていたお年玉を使ってまでメンバー9人を揃えた。

フィギュアの完成度は非常に高い。僕は普通に置くのはもったいないと思い、届いてもダンボールからも出さず置いていた。社会人になって一人暮らしをしたら、アクリルケースを買って飾ろうと思っていたのだ。それが僕の楽しみというか小さな夢でもあった。ダンボールは大きいので、祖母宅のクローゼットに保管していた。

もうここまで読んだら分かると思うが、弟は家出をしていた時、僕のダンボールを開け、売り飛ばし、遊ぶ金に変えていた。買取の電話も友達が代わりに出て売っていたらしい。どのフィギュアを売ったか、何体売ったかも定かではないと言っていた。

この件は僕が東京に着いた金曜に発覚したのだが、弟は僕に告げず、ちょうど一週間経った今日、家に帰ると弟が口を開いた。僕は聞いて怒る気にもならなかった。ただなにかが壊れてしまった。もうダンボールすら未開封のものはどこにもない。虚ろなまま夕食を食べ、風呂に入った。風呂で、あぁ 鉄道模型コピペの旦那さんもこんな気持ちだったのかなと思った。明日はバイトも入っているが、とても働ける状態ではない。とりあえずどれが残っているか確認しないといけない。朝が来るのが怖い。明日確認するのが怖い。

ただもうどうにもならないのだ。リングにとじこめたはずだったのに壊れてしまった。

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